軍縮地球市民

日本軍性暴力訴訟の現状

 

一 訴訟の現状

 日本の戦争犯罪に関連する戦後補償訴訟は、日本各地の裁判所に係属してきたが、そのほかにアメリカなど各国の裁判所でも争われてきた。提訴した被害者は、韓国、中国、台湾、フィリピン、オランダ、イギリス、アメリカなど多くの諸国におよぶ。
 日本の裁判所に提訴した中国人被害者の裁判について見ると、強制連行・強制労働訴訟、七三一部隊・南京大虐殺訴訟、平頂山事件訴訟、重慶爆撃訴訟、性暴力(慰安婦)訴訟、李秀英名誉毀損裁判などがある。ここでは性暴力訴訟に限定して、その状況を紹介する。
 中国人慰安婦訴訟は、主に山西省における被害者が提訴した二次にわたる訴訟であるが、他方、海南島慰安婦訴訟もこれに続いている。
一九三七年以降、日中全面戦争のさなか、日本軍は中国各地で八路軍の抵抗に会った。とくに山西省では日本軍による八路軍せん滅作戦が行われ、見せしめとして女性に対する性暴力が多発した。山西省盂県の進圭村で は、日本軍によって、近隣の村々から駐屯地に少女たちが連行され、二週間から数月間、監禁されて性奴隷として兵士たちに強姦された。
日本軍は農村の少女を強制連行して監禁し、強姦と暴力を行った。原告の一人李秀梅は、一五歳の時に日本軍駐屯地に強制的に連行され、五ヶ月間日本兵に強姦され続け、右目は殴られて失明し、やっと村に戻ると母親は悲嘆のあまり自殺していた。

被害者の四人の女性たち、李秀梅、劉面煥、陳林桃、周喜香(第一次訴訟原告)は一九九五年八月七日東京地裁に裁判を起こした。また、郭喜翠、侯巧蓮の2人(第二次訴訟原告)が一九九六年二月二三日東京地裁に裁判を起こした。原告たちは直接法廷で自らの体験と長年心にとめてきた思いを吐き出すように語りました。それまで韓国人被害者の声は伝えられていたが、ほとんど知られなかった中国人「慰安婦」の被害状況が少しずつ明らかになった。
二〇〇四年一二月一五日、東京高等裁判所(根本眞裁判長)は、第一次訴訟において、控訴人らの請求を棄却する判決を下した。
この判決は、日本軍によって「従軍慰安所」が設置され、日本軍の管理下に女性を置き、日本軍将兵や軍属に性的奉仕をさせたこと、さらに北志那方面軍が、三 光作戦を行い、日本軍による中国人に対する残虐行為が行われたこと、このような中で、日本軍らによって、駐屯地近くに住む中国人女性(少女を含む)を強制 的に拉致・連行して強姦し、監禁状態にして連日強姦を繰り返す行為、いわゆる「慰安婦状態にする事件」があったとして日本国による「はなはだ悪質」な加害 事実を認定しました。また控訴人らの被害事実について現在に至るまでの後遺障害を含む極めて深刻な被害を詳細に認定した。
しかしその一方で法律解釈にあたっては、戦後補償裁判の現在の法理論の水準を一切踏まえることなく、旧来の形式的理論のまま国家無答責の法理を適用し、除斥期間の適用を認めて控訴人らの請求を棄却しました。
2005年3月18日、二次訴訟判決
本判決は、控訴人らが、1942年から43年にかけて、中国山西省盂県において、日本軍の兵士らによって組織的に拉致・連行され、監禁状態下で繰り返し性 暴力を受け、筆舌に尽くしがたい肉体的及び精神的苦痛を被り、それによりPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状を呈した実態を詳細に認めた第一審判決 を維持した。本判決は、1952年に締結された日華平和条約に基づいて、損害賠償請求権の放棄を認定した。 これは長年にわたる日中間の友好関係の基礎をなしている日中共同声明を無視し、その基本関係を揺るがすものである。日華平和条約締結当時、すでに中華人民 共和国政府は、台湾以外のほぼすべてを実効的に支配しており、以後中華人民共和国政府は一環して、日華平和条約は無効であり中華人民共和国政府はこれに拘 束されないと明言し続けてきた。また、本判決は「除斥」を理由に請求を棄却している。

 

海南島

日本軍は海南島の女性を駐屯地や軍が設置した「慰安所」に監禁して強姦しました。原告の一人黄有良さんは14歳の時、日本兵が突然家にやってきて強姦され、駐屯地に連行されました。

2001年
7月16日 海南島戦時性暴力被害訴訟原告8名が東京地裁へ提訴
被害者の方の「潔白を晴らしてほしい」という意見を尊重し、これまでの戦時性暴力訴訟と異なり、戦後に日本政府が名誉回復のための措置を取らなかったことに対する不作為を訴える。損害賠償と新聞への謝罪広告掲載を請求する。

 

二 性暴力犯罪の認識

  金学順

  国際公聴会

  クマラスワミ

  ILO

  マクドゥーガル

  女性国際戦犯法廷

  逆流

  教科書問題

  判決

  靖国問題