ハディサ事件が意味すること
泥沼のイラクの未来を切り拓くために

一 抵抗せよ! 登録するな!
二 戦争犯罪の展覧会
三 分裂するアメリカ
四 非暴力レジスタンス

一 抵抗せよ! 登録するな!

 イラク西部のハディサにおける米軍による民間人殺害が波紋を呼んでいる。事件は二〇〇五年一一月一九日に起きた。武装勢力が仕掛けた爆弾によって一人の海兵隊員が死亡した。このため恐怖と怒りに満ちた米海兵隊員が付近の民家に押し入って銃を乱射し、二四名の民間人を殺した。
 インターネット上では以前から情報が飛び交っていたが、アメリカの大手メディアも無視できなくなった。六月二日の『ガーディアン』は、事件は本年三月から報告されていたとしている。生存被害者や近隣住民の証言に加えて、現場が民間住宅であることや女性や子どもの被害映像も明らかになり、六月五日の『ニューズ・ウィーク』は大虐殺の可能性を指摘した。米軍の情報統制に綻びが生じてきたのだろう。イスハキ、ラティフィヤ、ユシフィヤ、ハムダニヤでも民間人殺害が相次いで報告されている。
事件が発覚するや、アメリカにおけるイラク反戦運動が活気を取り戻した。六月九日、イラク派兵の兵士登録業務を行なっているニューヨークのリクルート・センター前でプロテスト行動が取り組まれた。イラクからの撤退を主張する平和運動体の「今こそ米軍撤退連合」は呼びかける(1)。
 「ミライ、ヴェトナム、一九六八年
  ハディサ、イラク、二〇〇五年
  米軍撤退連合はすべての若者、階級、登録兵士に呼びかける。
  抵抗せよ!登録するな!イラクに行くな!
  石油資本のために闘うな! 死ぬな! 殺すな!
  貧困、戦争、人種差別と闘うために家庭にもどれ!」
 ミライとは、ヴェトナム戦争において米軍による一村民大虐殺が行なわれたミライ村事件を指す。当時、日本では「ソンミ村虐殺」と呼ばれたミライ事件は、一九六八年三月に発生し、翌年一一月に発覚して大問題となった。ヴェトナムでは米軍によって数々の戦争犯罪が行なわれたが、ほとんど放任された。ミライ事件は虐殺責任者の軍事法廷が開かれた稀有なケースである。事件発覚によってヴェトナムへの軍事介入政策の正当性が問い直される象徴的事件となった。民衆大量虐殺という「加害」の事実がアメリカ人に知られるようになったからである。
 ヴェトナムのミライとイラクのハディサを並べた米軍撤退連合の意図は明らかであろう。
 米軍撤退連合のアピールは続く。
 「ラムズフェルド、チェィニィ、ブッシュは、この二つの事件、二つの戦争犯罪のことを一緒に語ることを嫌っている。両者がよく似ていること、同じ土壌から生まれたことを知ることで、同じ教訓を引き出すことができる。/一三歳のサファ・ユニスはこの家族のたった一人の生存者だ。サファの話では、米海兵隊員たちが両親のカフィフとアイーダ・ヤシン・アーメド、一四歳、十歳、五歳と三歳の妹たち、八歳の弟、そして家族と一緒にいた一歳の赤ちゃんを殺害した。隣人の話では、この家族は至近距離から銃撃され、手榴弾で殺された。子どもたちは泣き叫んで死んでいった。サファが生き残ったのは、床に倒れて母親の血に塗れていたため、海兵隊員がサファも死んでいるものと考えたからだ。」
 ハディサで何が起きたのか、世界はすでに知っている。問題を隠蔽できなくなったため、米軍は調査を予定していると言う。真相解明はこれからだ。しかし、米軍調査による「真相」が明らかにされるまでもなく、世界はすでに知っている――ハディサが偶発的な事件ではないことを。世界はいまや確信している――ハディサが、ファルージャに続く戦争犯罪の代名詞として永遠に語り継がれるであろうことを。ヴェトナムのミライと同様に、イラクのハディサが、アメリカの良心にも突き刺さっている。
 米軍撤退連合は訴える。
 「ペンタゴンの責任者が、ハディサ事件は戦争犯罪として裁かれるだろうと発表したが、ペンタゴンが望んでいないことは、そもそもの始まりの責任を問うことである。イラク侵略を共謀した者たち、この共謀を正当化するために嘘をついた者たち、子どもを殺してしまうような恐るべき立場にアメリカの若き男女を置かせた者たちだ。本当に正義があるならば、海兵隊員だけではなく、ブッシュ、チェィニィ、ラムズフェルド、そして権力のため、『戦略的利害』のため、要するに石油の利得のために海兵隊員を送り出したギャングたちこそ裁判にかけるべきであろう。」
 侵略戦争や資源略奪戦争などのような大義なき戦争は、軍隊の規律を弛緩させ、戦争犯罪を誘発しがちである。大義があれば戦争が正当化されるわけではないが、大義ある戦争のほうが、まだしも軍規が維持されるだろう。「大量破壊兵器の嘘」や「イラク解放の嘘」が露呈した後も、そして「イラク政権」発足以後もなおイラクに駐留して軍事行動を続けていること自体が、軍規の深刻な弛緩をもたらしている。六月五日の『ガーディアン』は、ハディサ事件の海兵隊員は危険な任務の精神的負担のため薬物依存であった可能性を報じた。また、「イラク政権」なるものは「傀儡政権」にすぎない。イラク軍と米英連合軍が共同作戦によってイラク人民を殺害していることも、世界は知っている。世界が知っていることを、米軍兵士たちも気付き始めている。
 「ミライとハディサの教訓とは何か? 大衆の支持を得ている抵抗運動を鎮圧する命令を受けたとき、占領軍は戦争犯罪を犯すということだ。若き海兵隊員は、民間人や子どもたち、すべてのイラク人民に嫌われていることを知っている。だから、海兵隊員が攻撃を行なえば、民間人を殺してしまう。子どもたちを殺してしまうのだ」。
 米軍撤退連合の結論はこうだ。
 「唯一の選択肢は、イラクにおける軍事作戦への参加を拒否することだ。勇気がいるが、これこそ名誉ある選択だ。反戦運動はあらゆる支援を行なうつもりである。米国中のリクルート・センター職員にも同じメッセージを送りたい。海兵隊や空軍などに志願する署名を拒否するよう若者たちに訴えよう。さもなくば戦争犯罪人になるかもしれないのだ。署名をしないことは、イラクに行ってから戦闘を拒否するよりもずっと容易な選択だ」。

二 戦争犯罪の展覧会

 ハディサにおける民間人殺害は戦争犯罪であり、組織的に行なわれているので人道に対する罪にもあたる疑いがある。民間人殺害が続発しているのに、米軍は効果的な再発予防策を何一つとっていない。それどころかイラク各地で戦闘を続けて被害を拡大している。直接の実行犯だけでなく、米軍上層部、ひいてはブッシュ大統領にも上官の責任が問われるべきである。
 イラクにおける戦争犯罪を、これまで世界はいったいどれほど見せられてきただろうか。三年の歳月、イラク全土で膨大な戦争犯罪が繰り広げられ、無数の人民が悲鳴をあげ、世界に訴えてきたのではなかったか。
 二〇〇三年夏から日本で始まった「イラク国際戦犯民衆法廷」運動は、二〇〇四年を通じて、東京、大阪、那覇をはじめ全国一四箇所、およびマニラ(フィリピン)で公聴会を開催した(2)。イラクで取材をしたジャーナリストが写真やビデオをもとに被害状況を報告した。「イラク占領監視センター」など現地NGOの協力によりイラクから証言者を招いた。政治学者は「新しいアメリカの世紀プロジェクト(PNAC)」に代表されるアメリカ軍事戦略とイデオロギーを検証した。国際法学者はイラク攻撃が国際法上の正当化理由のない侵略であることを論証した。ブッシュ大統領の「大量破壊兵器の嘘」を暴くとともに、「劣化ウラン兵器」をイラクに投下し放射能汚染を撒き散らしていること、クラスター爆弾による民間人被害が続発していることを告発した。アブグレイブ収容所における捕虜その他の収容者に対する異常で残虐な拷問を批判してきた。イラク全土が「ブッシュの拷問室」と化している。
 イラク国際戦犯民衆法廷は、二〇〇五年三月五日、ブッシュ大統領、ブレア首相、小泉首相らに対して有罪判決を言い渡した(3)。
 第一に、ブッシュとブレアの侵略の罪である。イラクへの軍事攻撃には、国連憲章上もその他の国際法上も正当化理由がなく、侵略の罪にあたる。侵略に引き続く占領も犯罪の継続である。第二に、ジェノサイドである。永年にわたる経済制裁により数十万の子どもが亡くなったのはジェノサイドである。二〇〇四年七月以降のファルージャ大規模攻撃はジェノサイドにあたる。第三に、戦争犯罪である。民間人及び民間施設に対する無差別爆撃。クラスター爆弾は不必要な苦痛を与える兵器である。劣化ウラン兵器は不必要な苦痛を与える兵器であり、自然環境破壊である。ファルージャに対する無差別爆撃は軍事目標主義を逸脱している。アブグレイブなどの収容所における拷問と虐待も戦争犯罪である。第四に、劣化ウラン兵器使用命令は人道に対する罪にあたる。第五に、小泉首相について、米英連合軍に協力するためのイラクへの自衛隊派遣は侵略の罪、戦争犯罪の幇助と支援の罪にあたる。
 同様の取組みは世界的にも行なわれた。二〇〇三年春、イラク侵略を裁こうという声が世界各地の平和運動の中からも生まれた。同年秋、イラク世界民衆法廷キャンペーンが始まり、世界各地で連続法廷が開催された。ロンドン、ムンバイ、コペンハーゲン、ブリュッセル、ニューヨーク(二回)、広島、ソウル、ローマ、バルセロナ、チュニスと、ブッシュやブレアを裁く民衆法廷運動が地球を一周した。そのうえで二〇〇五年六月二四日~二七日、トルコでのイラク世界民衆法廷イスタンブール公判が開催された。
 イスタンブール公判最終日、陪審長である作家のアルンダティ・ロイは、最終意見をまとめて次のように述べた。
 「イラク攻撃は正義、自由、安全、未来、そして我々すべてに対する攻撃である。我ら、良心を持つ民衆は立ち上がる決意をし、正義と平和な未来を求めてイラク世界民衆法廷を組織した。占領への反対は広範囲にわたっている。平和的手段による市民レジスタンスさえも占領軍によって弾圧されている。国連憲章と国際法の原則では、一般人民が占領に抵抗するのは正当である。・・・我ら、良心の陪審員は、以上の勧告の具体化によって、誰もが願う世界に必要な基礎が据えられることを望む。恐怖や自己利害ではなく人民の意思によって国際機関が組織される世界。ジャーナリストや知識人が沈黙しない世界。人民の意思が中核となり、国家の安全保障や企業の利益より人間の安全保障が大切にされる世界を」。
 イラク世界民衆法廷はグローバルな民衆法廷を実現した。資本のグローバリゼーションが世界各地の民衆の生活を破壊し、文化を呑み込み、戦争と環境破壊をもたらしているのに対して、民衆が協力して戦争犯罪を裁き、平和の願いを掲げ、イラク人民の抵抗に連帯するグローバルな民衆法廷である。

 三 分裂するアメリカ

 ハディサ事件はアメリカにも大きな影響を及ぼした。民間人殺害は戦争犯罪であるし、人道に対する罪にもあたる。イラクのNGOや国際人権NGO、そしてメディアも調査を要求した。アラブ圏はもちろん、欧米メディアも真相を追った。六月一一日の『ワシントン・ポスト』は、ある海兵隊員が「脅威を感じたときは銃弾を雨あられと浴びせていた」と証言したと伝えている。関与した海兵隊員の虚偽報告の疑いも浮上した。当初は調査を拒否していたアメリカも調査に乗り出さざるを得なくなった。
 さらに、六月一〇日、米国防総省は、グアンタナモ収容所における収容者三人が自殺したと公表した。これまでもハンストを行なっていた三人がひもで首を吊ったという。六月一三日、欧州連合(EU)の欧州議会が、グアンタナモ収容所の閉鎖を求める決議を行なった。六月一四日、国連の「恣意的拘禁に関する特別報告者」や「拷問問題に関する特別報告者」らもグアンタナモ収容所の即時閉鎖を求める共同声明を発表した。グアンタナモだけでなく、米軍とCIAは、欧州各国の秘密収容所を利用して、世界的な拷問ネットワークを作り上げていると非難されている。
 六月一六日、ワシントンでは反戦を訴えるデモ「沈黙の行進」が行なわれた。イラク戦争における米兵死者が二五〇〇人を超えたという。イラク人死者数は不明であるが、民間団体の「イラク・ボディ・カウント」の集計では民間人犠牲者は四万人に達するという。ワシントンでも「殺すな!殺されるな!」との呼びかけが広まってきた。
 こうしたなか、六月七日、エーレン・ワタダ陸軍中尉が「イラク戦争は道徳的に間違っているだけでなく、法律違反である」として、イラクへの派遣を拒否することを明らかにした。イラク戦争開始以来約八〇〇〇人の米兵が派遣命令を拒否してきたが、現役将校の派遣拒否は初めてである。六月一六日、バッファロー(ニューヨーク州)では、「平和に国境はない」というスローガンのもとに、イラク従軍拒否兵士を支援する集会が開かれ、従軍を拒否してカナダに逃れている兵士の家族やイラク帰還兵が集まった。イラク反戦の象徴的存在となったシンディ・シーハンも駆けつけた。翌一七日には、カナダ側でも、事実上亡命状態の米兵たちの支援集会も開かれた。
 六月一四日、『BBCニュース』は、西欧及び中東諸国における世論調査結果として、世界の平和に対する脅威はイランの核開発ではなくアメリカであるという結果を報じた。
 しかし、ブッシュ政権は内外の平和への願いに耳を傾けようとはしない。「イラクの聖戦アル・カイーダ組織」のザルカウィ暗殺によって息を吹き返したかのように、六月一三日には、米下院で追加予算案を可決させた。イラクおよびアフガニスタンの戦費六五八億ドルが認められた。開戦以来のイラク戦費は三二〇〇億ドルになるという。議員の中には際限のない戦費追加への批判はあるものの、戦争政策そのものへの批判はごくわずかである。
ブッシュ政権にとってのハディサの教訓は明瞭である。二四の民間人死体が注目を集めるのなら、もっと大きな死体の山を築いて、見えにくくすればいい。六月一四日から米・イラク合同軍は七万五千人を投入してバグダッドやラマディで大規模軍事作戦を始めた。最初から「終了期限はない」と豪語しながらの作戦突入である。ラマディはすでにファルージャ化しているという。六月一六日、米下院は、イラク戦争およびテロとの闘いにおける米軍の役割を賞賛する決議を採択した。イラクからの撤退はアメリカの国家安全保障上の利益にならないとまで述べている。この決議に鼓舞されたかのように、六月一八日、ファルージャ空爆で一〇人の死亡、女性や子どもに負傷者を出した。恐怖と戦慄の夏がイラクに訪れている。
 他方、日本のメディアではあまり報じられていないが、アフガニスタンの状況も深刻である。二〇〇六年初頭から、中部ウルズガン州をはじめ各地で現政権や米軍に対する武装攻撃が起きるようになった。カンダハル州やヘルマンド州でも治安が悪化し、今や「戦争状態にある」と言われる。米軍は旧タリバン勢力掃討と称して各地で爆撃や戦闘を繰り返し、多数の民間人を殺害している。最近数ヶ月の米軍による爆撃回数は一日平均四回を越えて、イラクの二倍以上である。

四 非暴力レジスタンス

 占領軍撤退が実現しないのはイラクに治安が回復しないからであるが、占領軍が民間人殺害を続けているのに治安が回復することなどありえない。ブッシュ政権は撤退の青写真を示すこともなく、泥沼のイラクに次々と部隊を送り込んでいる。
 他方、イラク側では武装勢力が米軍を攻撃し、「自殺爆弾」や、ジャーナリスト殺害を続けてきた。宗派間の対立を煽り、結局のところ一般民衆に被害をしわ寄せしてきた。
 メディアは、占領軍、シーア派、スンニ派の三竦み状態を前に、武装勢力の活動ばかり報道し、ひたすら混迷するイラクの映像を流してきた。あたかもすべてのイラク人が武装勢力かテロリストであるかのように。占領終結後のイラクの青写真を誰も示そうとしない。
 しかし、戦乱と廃墟のイラクのなかで、非暴力により民主主義と政教分離の政権をつくり、イラク人自身の手によってイラクを再建しようというグループが存在している。バグダッドで仕事をよこせと平穏なデモから組織化を始めたイラク失業者組合や、家庭内暴力被害女性のシェルターづくりをしてきたイラク女性自由協会などの活動が広がり、「イラク市民レジスタンス」が旗揚げした。さらに、諸団体を糾合して政治勢力としての「イラク自由会議(IFC)」も発足した(4)。
「シーア派でもスンニ派でもない、われわれは人間だ」と訴えるIFC議長サミール・アディルは「市民レジスタンスを選択したのは、国際的で人道的な反戦運動の一員だからである。IFCの政策は反米ではなく、米国政府の非人間的な政策に反対している。従って、IFCは例えばイラクで従軍している息子や娘たちを持つアメリカの母親たちに背を向けることはできない。イラクの母親は占領か武装民兵の犯罪のために我が子を失えば苦痛を受ける。アメリカの母親もイラク戦争で我が子を失えば苦痛を受ける。人間の痛みは世界中どこでも同じである。われわれの力と支援は全世界のこの運動から来ているのであり、どんなことがあってもこの政策と戦略を放棄することはない」と語る。
 イラク女性自由協会は、六月一日、「ハディサの余波の中で――イラクの女性と子どもに対する日々の虐殺をやめさせよう」という声明を発した。
 「われわれは、占領がイラクにおける宗派間戦争の種を植え、自由に反対し差別を行っていることを無視して政府内外のイスラム政治勢力に権力を与えているのを目撃した。分断と宗派主義と女性に対する抑圧の憲法を指図するのを見た。その上今、イラクの子どもと女性に対する大量殺害はイラクにいる犯罪的な海兵隊の合法的で正当化された権利であると認め、『理解する』ように圧力をかけられている。/われわれはこの占領下、安全でまともな生活をするあらゆる機会を失ってしまった。ハディサ虐殺は、占領の引き続くイラクのあらゆる都市で毎日起こっていることである。占領を終わらせるために闘う以外の選択肢はない」。
 レジスタンスはイラク人民の当然の自決権である。しかし、自殺爆弾や宗派間対立のように、レジスタンスから逸脱した行動は国際的な支持も得られない。非暴力で民主的なイラクの未来を切り拓こうとする「イラク市民レジスタンス」が力を蓄えることで、占領終結の具体的なロードマップが見えてくる。あまりに長い苦しみを耐え抜いてきたイラク人民の願いはここにあるはずだ。

The Troops Out Now Coalition, My Lai, Vietnam, 1968. Haditha, Iraq, 2005.

二つのイラク民衆法廷について、前田朗『侵略と抵抗』(青木書店、二〇〇五年)参照。
『ブッシュ、小泉有罪! イラク国際戦犯民衆法廷判決』(イラク国際戦犯民衆法廷実行委員会、二〇〇五年)。法廷は、阿部浩己(裁判長、神奈川大学教授)、申恵丰(青山学院大学助教授)、李長熙(韓国外国語大学教授)、ジョンソン・パンジャイタン(インドネシア、弁護士)の構成である。
イラク市民レジスタンス連帯委員会のウエッブサイト
IFCは、イラクにおける政治勢力としての影響力を確保するために、イスラム原理主義ではなく、自由と民主主義を求めるTV局を開設するための努力を重ねている。ロンドン亡命イラク人の協力を得て、民主的で独立のTV局をつくり、イラクに国際放映する計画である。そのための資金カンパ活動は日本でも取り組みが始まっている。